第2回水泳部顧問は部員を助けに海沿いのプールへ 不安が的中した顧問の父
粉雪の舞う北海道恵庭市。
実家には恥ずかしそうにほほえむ女性の遺影が飾られていた。岩手県立高田高校水泳部の元顧問、小野寺(旧姓、毛利)素子(享年29)。
戸棚の上には、米国旅行で家族と撮った記念写真。宇宙飛行士、毛利衛のめいで、家族の背後には打ち上げ前のスペースシャトルが写っている。
北海道で生まれ、高校教師だった父、毛利奉信(78)の出身校である弘前大学に進学。小学生の時に始めた水泳が大好きで、大学でも水泳部の主将を務めた「がんばり屋」だった。
母、みどり(75)は「水泳があの子を立派な人間に育ててくれた」と懐かしむ。
あの日。奉信とみどりは北海道の親類宅にいた。テレビでは、娘が勤務する東北地方の沿岸部に津波が押し寄せていく様子を知らせていた。
的中した不安
「素子、大丈夫よね?」。みどりが不安げに聞くと、奉信は言った。「あいつのことだから、わからない……」
素子なら、自分の身を守るよ…
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