食べログの点数評価は公正か 優越的地位の乱用めぐり揺れる司法判断

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記者解説 社会部・田中恭太

 私たちは毎日のようにネット通販やグルメサイトを利用している。こうした利用者と店や事業者などを結びつけるサービスが「デジタルプラットフォーム」だ。様々な店や商品が格付けされており、IT企業が大量のデータを自動的に分析してつけている。格付けされる側の売り上げを大きく左右するが、どのように点数がつくのかは外部からはわかりにくい。IT企業が自分たちに都合よく運用する恐れも指摘されている。

 そんななか、評価の公正さをめぐる裁判の判決があった。大手グルメサイトの食べログに掲載されている飲食店が、「評点を不当に下げられた」と訴えたものだ。東京高裁は1月、食べログ側の逆転勝訴の判決を出した。一審の東京地裁は食べログに独占禁止法違反(優越的地位の乱用)があったと認めていたが、覆した。

 食べログは「カカクコム」(東京)が運営し、約6千万件の口コミデータなどをもとに点数をつけている。多くの人が活用しており、集客を食べログに依存する店も少なくない。ほかにも同様のサービスはあるが飲食店側が訴訟で争うのは珍しく、裁判の行方に関心を呼んでいた。私たち消費者にとっても利用する情報の信頼性に関わる問題だ。

 裁判の焦点は評価手法が適切だったかどうかだ。大量のデータを自動的に分析するため、IT企業は「アルゴリズム」(計算手順)を開発している。食べログも5点満点の評点を決めるのに独自のアルゴリズムを使ってきた。

ポイント

 大手グルメサイトの飲食店の評価手法をめぐる高裁判決で、サイト側が逆転勝訴した。飲食店側は独占禁止法が禁じる優越的地位の乱用にあたると主張したが、退けられた。IT企業の評価手法の実態は外部からわかりにくく、公正性が今後も問われる。

 焼き肉・韓国料理チェーンの…

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