人口減には連携して挑む 保育や介護・福祉分野、人材の奪い合い防ぐ

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野田一郎
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 北海道南部で生活・経済圏が一体の函館市北斗市七飯町が4月から、介護や障がい福祉、保育の施設で新たに働く人に奨励金を出す制度を連携して始めた。これらの施設での人手不足は圏内の共通課題で、自治体間で人材の奪い合いにならないようにする狙いだ。人口減対策で自治体間競争の弊害が指摘されており、新たな取り組みとして注目される。

 「以前は子育て政策を充実させて若い世代の流入を図ったが、人口減社会の今、一人勝ちを目指していては地域全体が沈んでしまう」

 北斗市の池田達雄市長は力を込める。

 3市町の奨励金制度はこんな概要だ。

 新たに、管内の介護保険事業所や障害福祉サービス事業所で利用者を直接支援する介護福祉士、保育所などの施設で働く保育士・幼稚園教諭に対し、奨励金20万円を支給。介護福祉士の資格を持っていない人にも10万円を支給する。いずれも離職を防ぐため、継続就労奨励金として期間に応じて最大3回、計30万円を出す。

 各市町はこれらの費用として2024年度当初予算に920万~3560万円を計上した。

 元々は、昨年4月に初当選した函館市の大泉潤市長が、介護と保育の人材確保のため、奨励金制度を24年度から始めることを打ち出したのがきっかけだ。昨夏、池田市長が大泉市長と七飯町の杉原太町長に「足並みをそろえた方がよい」と呼びかけた。

減り続ける採用希望者

 介護の現場では人手不足が深刻だ。3市町では3月、介護福祉士国家試験の受験資格を得られる専門学校が閉校し、福祉科のある高校も1校だけ。函館市が22年7月に行ったアンケートでは、回答した介護保険事業所の65%が介護職員が不足していると訴え、その理由について「採用が困難」との回答が60%に及んだ。

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この記事を書いた人
野田一郎
函館支局長
専門・関心分野
人権、人口減、文化