「ガザ虐殺反対」米国の学生が声を上げる二つの理由 三牧聖子さん

有料記事

聞き手・大内悟史
[PR]

 イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃を巡り、米国各地の大学で巻き起こった抗議運動。イスラエルのみならず大学当局やバイデン政権への批判へと広がり、警察が介入して多くの逮捕者も出るなど米社会を揺るがす一方、学生たちの動きは日本を含む他国へも波及している。日米の学生の動きをどう見るか。三牧聖子・同志社大准教授(米国政治外交)に聞いた。

     ◇

 ガザの極限的な人道危機をとめるため、学生たちは昨年から、イスラエルや米バイデン政権への抗議のほか、大学が運用する基金の投資先を開示し、イスラエルの軍需産業に関連する企業への投資をやめる「ダイベスト」を訴えている。

 この学生たちの動きを、政治家や大手メディアは「反ユダヤ主義」とみなして抑え込もうとしている。先日には「反ユダヤ主義」の定義を拡大し、その取り締まりをはかる「反ユダヤ主義啓発法」が米連邦議会下院で可決された。

 だが昨年から続く抗議には、多くのユダヤ系学生も加わっている。「ユダヤ人の名のもとに虐殺をするな」、「虐殺の被害者になった経験をもとに、あらゆる虐殺に反対することこそが、ユダヤ人が体現すべき価値だ」と訴えている。「反ユダヤ主義」の温床だという政治家や大手メディアの報道は、とても額面通りには受け取れない。

 バイデン政権は「ガザで起き…

この記事は有料記事です。残り1416文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
大内悟史
文化部|論壇・読書面担当
専門・関心分野
社会学、政治学、哲学、歴史、文学など