夢の科学技術描いた作品、小5が英語スピーチで世界へアピール目指す

安田朋起
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 子どもたちが夢の科学技術を描く絵画展で特別賞に選ばれた鹿児島市の小学5年生が、その絵を「世界大会」に出品しようとしている。絵に込めた思いを各国の審査員に知ってもらおうと、英語でのスピーチ動画の撮影に初めて挑む。

 この作品は、市立玉江小5年の大迫樹生(いつき)さん(11)の「さわれるテレビデンワ」。「第46回未来の科学の夢絵画展」(発明協会主催、朝日新聞社など後援)で朝日新聞社賞に選ばれ、今年3月に東京で表彰を受けた。

 幼い時から絵や工作が好きだった。描いたのは小4の時。県発明協会が小学生向けに開催する年間講座「鹿児島少年少女発明クラブ」に入会し、課題の一つとして取り組んだものだった。

 コロナ禍で他県に住む祖父母と会えなくなったことから、遠くに住む話し相手に触れるテレビ電話があったらいいなというアイデアを絵にした。「描きたいところを大きく描いた」という。

 母親の暢子(ようこ)さん(42)は、絵の中で喜んでいる少年の表情が樹生さんそっくりで、描かれた腕も祖父と似ている、と感じたという。昨年11月にあった「鹿児島県発明くふう展」の絵画部門で「入選」に選ばれた。

 しばらくたって、全国大会にあたる「未来の科学の夢絵画展」で特別賞になったとの連絡が学校を通してあった。「県の発明くふう展で終わったと思っていたし、入選よりもっと上の賞の作品が他にあったから、とてもびっくりした」と暢子さんは振り返る。

 発明クラブの黒丸米行会長は「描くときには『発想がいいね』と声をかけた。現実には考えられないが、子どもらしいアイデア。受賞は他の子どもにも励みになっている」と話す。

 受賞作は、8月に台湾である「世界青少年発明工夫展」に応募できる。樹生さんは英語による動画審査に出すことにした。祖父母に頭をなでて褒められるのが好きなこと、祖父が病気になってなかなか会えないことなど、絵に込めた思いを暢子さんが英訳。英語を母国語とする知人の助言で、作品名は「Unbreakable bonds(壊れない絆)」にした。

 動画は2分間。6月9日の提出締め切りに向け、スピーチの練習を重ねている。「ここまでこられたのは運がよかったから。自分の気持ちが(外国の審査員に)伝わってくれたらいい」と樹生さん。結果は9月に発表される予定だ。

 暢子さんは「便利さや役立つという点ではほかにもっとすごい作品があるが、直接触れあうという温かさや優しさも見てもらえるんだという気づきがあったようです」と目を細める。

 2年目となった今年度の「発明クラブ」で樹生さんが描いている絵は「写すだけで動物の痛いところが分かるカメラ」。動物はけがや病気でもどこが痛いかしゃべれないから、という優しさから発想したのではないかと暢子さんは考えている。

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この記事を書いた人
安田朋起
鹿児島総局長
専門・関心分野
再エネ、原発、環境、災害、持続可能性