第3回鉄格子の部屋で注射を打たれ 64年前の手術「まだ許せないんだ」

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上保晃平
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 「子どもができない手術をする。あんたたちみたいのが、子どもをつくったら大変だから」

 看護師の言葉に、絶望した。

 札幌市に住む小島喜久夫さん(83)は、生後まもなく石狩市の農家に引き取られた。幼いころに小児まひにかかり、右足に障害が残った。複雑な家庭環境のなかで、非行を重ねた。

 ある日、家に帰ると警察官が待っていた。強制的に精神科病院へ連れて行かれ、鉄格子のついた独房のような部屋に入れられた。19歳の頃だった。

 しばらく経った朝。看護師が言った。「あんたたちみたいのが、子どもをつくったら大変」。麻酔の注射を打たれ、不妊手術を強いられた。

■手術を告げたら、妻は去って…

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この記事を書いた人
上保晃平
北海道報道センター|事件・司法担当
専門・関心分野
人権、社会保障、障老病異