多くの住民は戻ったが…避難対策は半ば 西日本豪雨で3割浸水の真備
11府県で大雨特別警報が出されて洪水や土砂崩れが相次ぎ、災害関連死を含め300人以上が亡くなった西日本豪雨から6年になる。大きな被害を受けた岡山県倉敷市真備町ではハード整備は完了し、被災者の住まいの再建も終わったが、生活の再建や次の災害への備えは、まだ十分とは言えない。
「地域交流と防災を兼ね備えたこの公園を復興のシンボルにしたい」。3日、倉敷市真備町。小田川と支流の高馬川の合流地点付近に整備された防災公園「まびふれあい公園」の開園式で、伊東香織市長はこう述べた。
公園は約4・5ヘクタール。小田川の堤防と同じくらいの高さになるよう、約6メートルかさ上げして整備された。日ごろは憩いや防災教育の場としても活用され、災害時には避難場所や緊急車両の駐車場になる。
2018年7月6日、岡山県には大雨特別警報が出され、真備町では増水した1級河川の高梁(たかはし)川に小田川の水が流れ込めなくなる「バックウォーター現象」が起きた。小田川や支流では計8カ所で堤防が決壊。町の3割が水につかり、4646戸が全壊、846戸が半壊した。関連死を含めて74人が犠牲となった。
豪雨後、国と県、市は治水対策として総額610億円のハード整備を進め、今回の公園整備で一連の事業は終わった。
最も大規模なのは、高梁川と小田川の合流地点を元の場所から約4・6キロ下流へと付け替える工事だ。上下流間で高低差がつき、川幅を広げたことで、増水時も流れ込みやすくし、西日本豪雨と同程度の雨量でも対応できるという。
工事は当初、18年秋から10年計画で進める予定だったが、豪雨を受けて工期を5年に短縮。国、県、市が連携し、延べ1549社が関わる大プロジェクトだった。
また、小田川の堤防の幅を広げたほか、支流の末政川、高馬川、真谷川の川沿いにあった宅地や水田を買収して用地を確保して堤防を高く、厚くした。
現地で事業を進めた国土交通省岡山河川事務所は「流域の安全度は大きく増した」と強調したうえで、「昨今の異常気象を考えると『絶対に安全』とはいえない。危険を感じたら早めの避難をしてほしい」と訴える。
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