日本とフィリピンの「準同盟」 同盟と「本質的に異なる」関係性とは

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聞き手・伊藤弘毅
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 日本とフィリピンの関係が、「準同盟級」に格上げされました。そもそも世界の国々の間で結ばれる「同盟」や「準同盟」といった関係はどんなものなのか。準同盟関係に「引き上げられる」と、どんな利益や義務が生じるのか。東南アジアの安全保障に詳しい、防衛省防衛研究所の庄司智孝・地域研究部長に聞きました。

 ――同盟とはどのような関係なのですか。

 関係の強い複数の国家が、自分たち以外の第三国によってもたらされる安全保障上の脅威に共同して対処する――。これが、同盟の基本理念です。同盟ということばを用いた関係性は、古代ギリシャ時代のころから存在しています。

 ――世界にはどんな同盟があるのでしょうか

 現代の代表的な同盟は、韓国やフィリピンなど、米国中心のインド太平洋ネットワークです。日米同盟もそこに含まれますが、日米同盟は「片務的」だとも言われます。米国が第三国から脅威を受けた場合、日本は必ずしも米国の防衛義務を負っていないためです。ベトナム戦争期の米国とタイの同盟関係も、これに近い形です。

 国家グループとしての集団的な同盟関係としては、北大西洋条約機構(NATO)などが挙げられます。

 ――最近は、「準同盟」ということばも聞きます。

「準同盟」、英語では使われない言い回し?

 このことばに、学術的に決ま…

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この記事を書いた人
伊藤弘毅
アジア総局員兼ニューデリー支局員|アジア経済担当
専門・関心分野
南アジア、東南アジア、開発、エネルギー