第5回「財産、墓、葬儀はいらない」 医師、記者が実践する究極の「ゼロ」

有料記事「ゼロ」で死ねるか 人生100年時代のお金の使い方

編集委員・森下香枝
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 精神科医の和田秀樹さん(64)は、これまでの臨床経験で、死期を悟った高齢の患者が後悔する声をたくさん聞いたという。

「もっとお金を使ってやりたいことをすべきだった」「子どもの反対を無視して、再婚すればよかった」などだ。

 和田さんが「金持ちのパラドックス」と呼ぶ矛盾した事象がある。

 財産のある人が「再婚したい」と言うと子どもは反対し、財産のない人が「再婚したい」と言うと子どもは祝福するというものだ。

 「お金があるがゆえの不幸はいくつもあります。子どもに反対され、再婚をあきらめても子どもが老後の面倒をみてくれるとは限りません。老人ホームで寂しい余生を過ごすケースもあります。逆に財産がない場合、子どもは再婚相手が親の面倒を見てくれるのを歓迎し、かえって幸せというケースもある」

 遺産があれば、あるほど、子どもたちがお金の配分をめぐって「相続」ならぬ「争続」になるケースが多い。裁判になって精神科医の意見書を何回か書いた経験も和田さんにはあるという。

あの世に持っていけないお金

「あの世にお金は持っていけない」と語る和田さん。「ためる」よりも「使う」ことが大切な理由を語ります。記事後半では、文字どおり「ゼロ」で亡くなった、あるジャーナリストの生き様を紹介します

 「大金を残してもロクなこと…

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この記事を書いた人
森下香枝
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終活、中高年のセカンドライフ、事件など