世界情勢に巻き込まれる長崎 6カ国の大使不在、問われる式典の意義

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奥寺淳 西村圭史 中山直樹 編集委員・副島英樹
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 長崎の平和祈念式典は9日、イスラエルを招待しなかったことから、核保有国の米英など主要6カ国の大使が欠席するという異例の状況下で行われた。原爆の犠牲者を悼み、核廃絶と平和を世界に訴えてきた式典は、世界の政治情勢に巻き込まれる形となった。

 「核保有国と核の傘の下にいる国の指導者の皆さん」。式典で長崎市の鈴木史朗市長は、核兵器廃絶に向けて、参列者にこう訴えかけた。

 「被爆地を訪問し、被爆者の痛みと思いを一人の人間として、あなたの良心で受け止めてください。そしてどんなに険しくても、軍拡や威嚇を選ぶのではなく、対話と外交努力により平和的な解決への道を探ることを求めます」

 ただ、原爆を落とした米国や核保有国の英国の大使の姿は無かった。

長崎市長「政治的な理由でな…

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この記事を書いた人
中山直樹
ネットワーク報道本部|都庁担当
専門・関心分野
人権問題、災害、人口減
副島英樹
編集委員|広島総局駐在
専門・関心分野
平和、核問題、国際政治、地方ニュース
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    市原麻衣子
    (一橋大学大学院法学研究科教授)
    2024年8月10日9時57分 投稿
    【視点】

    この案件を巡る日本の言説に違和感を感じます。本記事は長崎が世界情勢に「巻き込まれた」としていますが、長崎市の主体的な判断があったことによるもので、巻き込まれたのではないはずです。 7月末の鈴木市長の会見でも、市長はこの判断について、政治的

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