今季から大リーグ・ドジャースで活躍する大谷翔平を長年取材してきたベースボールジャーナリストの石田雄太さんが、エンゼルスに入団した2018年から今年まで、スポーツ総合誌「スポーツ・グラフィック・ナンバー」に掲載したインタビューを「野球翔年(しょうねん)Ⅱ 大谷翔平ロングインタビュー」(文芸春秋)にまとめた。
野球に取り組む姿勢や投打「二刀流」として地位を確立するまでの取り組みから、私生活まで、大谷とじっくり向き合って、素顔を引き出してきた。その表現方法や、インタビューに込めた思いなどを聞いた。
――大リーグで取材するにあたり、日本ハム時代と比べて難しくなったところはありますか。
「大谷選手が渡米したことで彼を取り巻く環境が変わり、インタビューをする時間が限られてしまったのは難しいところでした。とりわけ大リーグに挑戦したばかりの頃は、大谷選手がペースをつかむまでに時間がかかり、その中でインタビュー時間を確保してもらうのは簡単なことではありませんでした」
――そうした状況で、心がけたことは。
「シーズン中に、大谷選手の話を聞く――『せき止める』ことはすごく大事だと思っています。シーズンオフになると、どうしても振り返りモードになってしまうので。だから、シーズン中のインタビューは、こだわって続けてきたことでした」
「ただ、シーズン中のインタビューができなかった年もあります。それは大谷選手にとって、時間の使い方がギリギリになって限られてきた裏返しでもありました。その時は残念でしたが、野球の時間を優先してほしい、ということで諦めました。今でも、シーズン中の言葉を『せき止めたい』という思いは変わっていません。今季も、シーズン中の取材ができるならしたいと思っています」
――前作「野球翔年Ⅰ」は日本ハム時代、今回の「野球翔年Ⅱ」は大リーグ時代の大谷選手について、インタビューを中心に引き出しています。
「ⅠとⅡの最大の違いと言い…