福島第一原発の燃料デブリ、「耳かき1杯」でも取り出す意義とは

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聞き手・福地慶太郎 玉木祥子
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 福島第一原発事故で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)について、東京電力は2号機で試験的な取り出しを計画しています。同原発の1~3号機には推計880トンもの燃料デブリがありますが、今回取り出す量は3グラム以下で、耳かき1杯ほど。前原子力規制委員長の更田豊志さんは、今回の試験的な取り出しの意義と限界をどう考えているのか。聞きました。

 ――今回の取り出しの意義と限界について、どう考えていますか。

 「燃料デブリと言っても、核燃料と周辺設備の金属が混ざったものもあれば、コンクリートと混ざったものもある。今回2号機から取り出した燃料デブリを分析すれば、もちろん情報は得られるが、これから取り出す燃料デブリ全体の特徴がわかるわけではない」

 「取り出す燃料デブリがどうかという点よりも、むしろ初めて原子炉格納容器の中に手を突っ込むということに最大の意義がある。放射性物質を外に漏らさないよう、また作業員の安全も確保しながら、外の世界との境界をきちんと維持しながら、燃料デブリを取り出す経験としての意味はものすごく大きい」

デブリの処分先、「1番難しい議論」

 ――東電は試験的取り出しの後は2号機で取り出し量を徐々に増やし、3号機では2030年代初めに取り出しを開始、その後、1号機にも展開する方針です。

 「今回うまくいったからとい…

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この記事を書いた人
福地慶太郎
科学みらい部|原子力担当
専門・関心分野
原子力、福島第一原発事故、生命科学