10月の衆院選では、短い動画の拡散など各政党のネット戦略が注目されました。政党や候補者はこれまでネットをどう使ってきたのでしょうか。メディア研究者の中村佳美さんに聞きました。
メディア研究者の中村佳美さんインタビュー
――選挙でインターネットを活用できるようになったのはいつごろですか。
インターネットを利用した選挙運動が公職選挙法で解禁されたのは、2013年の参議院選挙からです。この法改正は、候補者情報を充実させることや、投票率の向上を目的としていました。
この解禁により、政党や候補者は選挙期間中にもウェブサイトやSNSを更新し、投票の呼びかけや演説の案内を行えるようになりました。
――政党や候補者はどのように活用したのですか。
解禁当初からネットを積極的に活用する候補者も見られました。たとえば、三宅洋平氏や山本太郎氏は「選挙フェス」と称した活動で、演説と音楽を融合させたライブ配信を行い注目を集めました。
しかし、こうした事例は当時としてはごくわずかでした。多くの候補者はブログやメールマガジン、ツイッター(現X)など、テキスト主体のツールを利用し、主に支持者に向けて政策や主張を発信していました。ネット選挙運動が解禁されたばかりで、どのように活用すれば得票に結びつくのかという前例が少なく、政党や候補者はまだ手探りの段階にあったのです。
――すぐに定着したわけではないと。
模索から動画活用の時代へ
その後、SNSや動画の活用…