《2001年10月23日、仙台国税局の国際税務専門官らが調査のため、青森県住宅供給公社を訪れた。千田郁司(ちだゆうじ)がチリから日本に戻って約1カ月後のことだった》
国税局からは「消費税について調べに行く」という内容の通知が届いていた。でも実際に国税局の職員が来て名刺をもらったら、海外を担当する部署だった。
決算時期じゃない月に調べに来るっていうのもおかしいし、「ああ、やりすぎたな。海外にお金を送りすぎたな」って思ったよね。これはやばいなと。
1日目の調査が終わった後、怖くなって青森から東京に逃げた。それからは都内のホテルを転々としていた。
《結局、東京都内の路上で青森県警の警察官に逮捕された。逮捕後の数カ月は、青森署の留置所で過ごした》
留置所では、汚職事件で逮捕された村長と一緒になった。村長が「俺と一緒の部屋になったってことはお前はたいしたもんだな。何やったんだ」って聞いてきた。だから「14億ちょろまかしたんです」って答えたら、「じゅっ14億!?」ってびっくりしていたよね。
青森県住宅供給公社の巨額横領事件とは
23年前に発覚した青森県住宅供給公社を舞台にした14億円超の巨額横領事件。当時、青森支局員だった記者が、刑期を終えた元公社職員に50時間を超えるインタビューを行いました。彼が語った事件とは。連載の後半では、金を受け取ったとされるチリ人妻のメッセージも紹介します。記事中の敬称は省略します。
「病院を売れば7億くらいにはなる」 実際には
朝8時くらいから夜11時ま…
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