妊娠を目指す活動「妊活」の言葉はすっかり一般的になった。排卵日を推測するための各種アプリや、様々な成分のサプリが充実。不妊治療に保険が適用されるようになり、生殖の高度医療も進む。妊活当事者に妊娠するまでの悩みを聞くと、環境が変わっても、なかなか解決しない「孤独」が浮かび上がる。
妊娠を喜ぶ女性を見て涙し、顔も知らない人に頼った。体外受精を10回以上してもうまくいかず不妊治療を辞めた後に45歳で初産した。後輩が立て続けに産休や育休を申請してきて笑顔で受け取ったけど心では泣いていた。様々な境遇に悩んだ当事者たちの声を紹介します。
夫とも共有できず、非科学的だと分かっていたけどスピリチュアルに
排卵日に合わせて性交する「タイミング法」を続け、排卵誘発剤を使い、人工授精も試み、不妊治療で通う病院も3回変更。現在妊娠中の神奈川県の会社員女性(34)は、結婚直後から約1年半妊活に励んだ。子だくさんの家庭で育ったこともあり、子どもがいない結婚生活は考えられなかった。
この間、年齢的にも妊娠や出産について周囲と話し合う機会は多かったが、「妊娠を望むけどなかなかできないという悩みは分かってもらえなかった」と打ち明ける。
身近な友人は、自己流の妊活で数カ月で妊娠するか、不妊が続いて「もう夫婦2人でいいじゃん」と割り切った人ばかりだった。そんな中で、毎月、生理が来る度に落ち込む。
妊活にも協力的だった優しい夫は「仕方ないよ」「2人だけでも幸せ」と慰めてくれた。「でも本当は、慰めよりも一緒に悲しみを共有したかった。目の前で泣いて訴えたこともあるんですけどね」
孤独が深まる中で、非科学的…