インド太平洋地域で軍事衝突起こさない 吉田統幕長単独インタビュー
自衛隊創設70年を迎えた今年、自衛隊制服組トップの吉田圭秀(よしひで)統合幕僚長(陸将)が朝日新聞の単独インタビューに応じた。防衛大ではない一般大出身の初の統幕長という異例の経歴。自衛隊の変容や日本を取り巻く安全保障環境の変化について語った。
大川小学校の現場で
――なぜ東大工学部から自衛隊に。
大学時代、理系に進んだが関心は持てず、旅行のお金をためようと様々なバイトをする中、金属工場での経験が大きかった。本工さんの「この仕事をしたくてしているわけではない、食うために仕方ないんだ」という話にショックを受けた。自分がやりたい仕事に就いている人は決して社会の中で多くはいないと。処遇やネームバリューではなく、自分の性分にあって、やりがいが持てそうな、入ってから好きになっていけそうな仕事を選ぼうと思った。
たまたま大平内閣の総合安全保障戦略という本を読み、安全保障の重要性を認識した。現場が好きなので、現場のある安全保障の仕事を探したら、自衛隊の幹部候補生という制度を知った。東京育ちの私には親戚にも友人にも先輩にも自衛官はおらず、清水の舞台から飛び降りる気持ちで入隊した。
――印象に残る経験は。
若い頃、北海道の留萌の部隊…