イスラエルがレバノンへ地上侵攻 強硬姿勢で政権維持はかる思惑か
イスラエルが1日、レバノン南部を拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラを標的として、レバノンへの限定的な地上侵攻に踏み切ったと発表した。なぜ今、イスラエルは動いたのか。
イスラエル軍は発表で、今回の侵攻は、ヒズボラを標的に、国境付近のレバノン南部の複数の地域を対象にした「限定的」なものだ、と説明している。
イスラエル軍は9月27日、ヒズボラの最高指導者ナスララ師を空爆で殺害。その後もレバノン全土への攻撃を強めていた。昨年10月にパレスチナ自治区ガザでイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まって以来、ハマスとの共闘を掲げてきたヒズボラと、イスラエルの間の交戦による緊張がかつてなく高まっていた。
イスラエルが、ガザでの戦闘開始から1年近くが経つなか、ヒズボラへの態度を硬化させた背景には、国内世論からの圧力がある。この1年、イスラエル北部の国境を挟んでヒズボラと空爆や砲撃の応酬が続いていることから、イスラエル北部の住民約6万人が、国内の他の地域への避難を強いられている。
一方、ヒズボラとの緊張激化をもたらしたガザでの戦闘も、収束する見通しは立っていない。避難民をはじめ、国民からはネタニヤフ政権の責任を問う声が上がっていた。
イスラエルの安全保障関連閣議は9月17日、ガザでの戦闘の目標に、避難民6万人の「安全な帰還」を加えることを決めたと発表した。翌18日には、ヒズボラの戦闘員らが使っていた通信機器を一斉に爆発させる方法で攻撃。ヒズボラの報復を受け、23日以降は、レバノン各地で集中的な空爆を繰り返した。
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