アレフに「資産隠し」の見方 資産報告13億円→4千万円に 公安庁
オウム真理教の後継団体「アレフ」に対する、団体規制法に基づく活動制限の処分が長期化している。理由の一つが、国への資産の報告が不十分とされることだ。地下鉄サリンなど一連の事件の被害者や遺族への賠償金支払いが滞っており、公安調査庁(公安庁)は「資産隠し」との見方を強めている。
「無差別大量殺人」を行ったオウム真理教対策を念頭に制定された団体規制法に基づき、アレフは3カ月ごとに構成員や資産に関する報告が義務づけられている。しかし、公安庁の請求を受けて審査する公安審査委員会(公安審)は9月、報告が不十分として、活動を21日からさらに半年間制限する再発防止処分を決定した。
活動制限は、全国約20カ所の施設のうち16施設の全部または一部の使用や、お布施などの金品の受領を禁じるというもの。処分は2023年3月に初めて下され、今回で4回目。期間は計2年に及ぶことになる。
公安審は決定で、アレフが少なくとも10の名義でアレフの活動に使われる施設の管理や、在家の構成員向けの物品販売、セミナーの実施などの収益事業を行っていると認定。このうち九つの事業名義の資産は今年1月末時点で約7億円にのぼるのに、報告されていないと判断した。
アレフの動向を調査する公安庁が特に注視しているのは、報告資産が20年以降に急速に減少したことだ。19年は約13億円だったが、直近は約4千万円にとどまった。20年は、未払いの賠償金約10億2500万円を支払うよう命じる判決が最高裁で確定した年で、公安庁幹部は、報告する資産額の減少は「賠償金支払いを免れるための悪質な資産隠し」との見方を強めている。
一方、多くの道場への出入りを禁じる処分が1年半にわたって続いたことで「資金力は低下している」(同幹部)。従来、各地の道場で定期的に在家構成員を集めて開いていたセミナーなどが開催できなくなり、多い時期には年間1億円ほどあった収入が得られなくなっているとみている。
公安審の処分決定にあたっては、アレフ側の主張を聞き取る「意見聴取」の手続きがあるが、アレフ側は過去4回とも出席していない。一方で、決定までの手続きが不当などとして、処分の取り消しを求める訴訟を起こしている。
未払いの賠償金は、最高裁判…