ノルウェーのノーベル委員会は11日、2024年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与すると発表した。授賞理由について、「核兵器が二度と使われてはならないと、証言をしてきた」とした。日本のノーベル平和賞受賞は、1974年の佐藤栄作元首相以来50年ぶり。
ノーベル委員会はこれまでも、核軍縮・不拡散の取り組みを後押ししてきた。2009年に「核なき世界」を訴えた米国のオバマ大統領(当時)に、17年には核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に平和賞が贈られた。
「語ってきた被爆者と、亡くなった被爆者双方への授賞」
ノーベル委員会は、「被爆者は、筆舌に尽くしがたいものを描写し、考えられないようなことに思いをいたし、核兵器によって引き起こされた理解が及ばない痛み、苦しみを理解する一助となった」とし、「今日、核兵器の使用に対する『タブー』が圧力を受けていることは憂慮すべきである」と懸念も示した。
そのうえで、「ノーベルのビジョンの核心は、献身的な個人が変化をもたらすことができるという信念。肉体的苦痛やつらい記憶にもかかわらず、平和への希望、関与をはぐくむために役立てることを選んだすべての被爆者をたたえたい」といたわった。また、「いつの日か、被爆者は歴史の証人ではなくなるだろう。ただ、日本の若い世代は被爆者の経験とメッセージを受け継いでいる。彼らは世界中の人々を鼓舞、教育している。人類の平和な未来の前提条件である、『核兵器のタブー』を維持する一助になっている」とたたえた。
今年新たに就任したノーベル委員会のヨルゲン・ワトネ・フリドネス委員長は朝日新聞の電話取材に、「何十年にもわたって声を上げ、体験を語ってきた被爆者、そして時間の経過とともに亡くなってしまった被爆者双方に対する授賞だ」と語り、「核兵器はロシア・ウクライナ戦争と、中東における紛争の両方に明確に関わっている。それだけではなく、我々人類全体にとっての課題だ」と訴えた。
「核廃絶、恒久平和の実現を」
受賞を知った広島県被団協の箕牧智之理事長は、広島市役所で会見し、「本当に夢の夢です」と喜んだ。受賞でどんなメッセージが広がって欲しいかを問われると、「核廃絶、恒久平和の実現です。今、世界は複雑な情勢だ。私たちもさらに磨きをかけてやっていかなければならない。戦後、原爆孤児で育った子どもたちがたくさんいる。ガザで子どもが被害を受けている」と訴えた。
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