「万博、赤字なら誰の責任か」 焦る吉村知事、浮上した二つのリスク

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 9月13日午後、大阪市内で、2025年大阪・関西万博を主催する日本国際博覧会協会の理事会が非公開で開かれた。

 「(万博は)赤字は絶対に出したらいけない事業。チケットは売りやすく、買いやすく、使いやすく、分かりやすいことが必要だ」

 会議の中盤、協会副会長の吉村洋文大阪府知事はそう訴え、10月13日から発売される「紙チケット」購入者の日時予約なしでの入場可能日を幅広く認めるよう迫った。

 吉村氏には焦りがあった。

 万博事業の人件費などにあてる「運営費」は1160億円の見込みで、8割超を入場券収入でまかなう計画。だが、10月9日時点で売れたのは約713万枚。開幕までの目標の51%にとどまる。売り上げ不振を打開する「切り札」に浮上したのが、開幕半年前から販売する紙チケットだった。

 導入されていた電子チケットと違い、会期の一部では予約なしでも入場が可能。ネット上の申し込みが不要で、高齢者らが購入しやすくなると期待された。

 ただ、協会幹部の多くは「予約なし入場」を懸念。来場者の殺到で、「入場ゲートが制御できなくなると地下鉄の駅に影響が出て、会場だけでなく市民生活にも影響が生じる」(出席者)からだ。

 販売不振で生じた赤字と会場運営の二つのリスク。「会長一任」として議論を引き取った十倉雅和会長(経団連会長)は、苦心をにじませた。「売り上げの確保はもちろん大事。安全安心なくして来る人も増えない。どうてんびんにかけるかだ」。紙チケットの販売まで残り1カ月に迫っていた。

開催まで半年となる大阪・関西万博。しかし、入場券の売り上げは好調とは言えず、その先の「赤字リスク」もくすぶります。記事の後半では、その理由となる今回の万博の特性と、プロモーションのむずかしさを関係者の証言などから詳しくひもといていきます。

「切り札」の紙チケット でも折り合わぬ適用期間

 「一般の人が購入している前…

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