「敷くもの」から「持つもの」へ 老舗畳店が編み出した生き残り戦略

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仙道洸
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 畳の部屋がない家が増えています。畳の表面に当たる「畳表」は1996年には3800万枚ほどの供給量がありましたが、昨年は745万枚に。そんな今だからこそ良さを伝えたいと、畳を「敷くもの」から「持つもの」に変身させ、魅力を広めている畳店が奈良県にあります。

カンサイのカイシャ ここがオモロイ!

 織田畳店(田原本町)を営む織田理さん(52)が4代目として店を継いだ18年ほど前、畳の需要はすでに右肩下がりの時代に入っていた。洋風の住宅がはやり、フローリングの床の家が増えていた。依頼される仕事は「畳を処分してほしい」というものばかりだった。

 生活はだんだん苦しくなり、ついには一緒に店を切り盛りしていた妻の吉美さん(50)がアルバイトを始めざるを得なくなった。

 「どないかして食べていかないと……」。途方に暮れた吉美さんが工場を見渡した時、ふと畳表の端材が目に入った。「これだけ余るのに捨てるのはもったいない。何かできないかな」。試しに家庭用ミシンで縫い合わせてみると、縫えた。

 創作意欲が湧いてきた。当時まだ主流だったガラケーを入れるケースを作ってみた。これが意外な反応を引き起こす。

 理さんがぶら下げているケー…

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