中3殺害の有罪認定に「罪深い不正」 刑法学者が指摘「冤罪の原因」
38年前に福井市で起きた女子中学生殺害事件で殺人罪が確定し、服役した前川彰司さん(59)の裁判のやり直しが認められた。名古屋高裁金沢支部は23日の決定で、有罪判決が支えとした関係者の供述をことごとく「信用性がない」と結論づけた。
決定後の報告集会に参加した関西学院大の川崎英明・名誉教授(刑事訴訟法)は、今回の再審開始決定が、「冤罪(えんざい)」を生みかねない捜査機関のあり方に警鐘を鳴らすものだと指摘した。
事件当日に前川さんを見た――。確定判決が、主に3人の関係者の供述を根拠に、前川さんを「犯人だ」として認定した。だが、再審請求審では捜査報告書が開示され、警察官の誘導によって供述が作られていたことなどが明らかに。そのため、再審開始決定は、供述の信用性をことごとく否定した。
川崎氏は「再審での証拠開示の重要性を物語っている」と指摘する。
「警察官がなりふり構わず…」
確定判決で、供述の信用性を裏付ける事実とされた「事件当日に放映されたテレビ番組」。その日に放映されていなかったことも判明し、関係者の一人の供述の信用性は大きく崩れた。さらに、その供述が支えていた別の関係者の供述も信用性を失うことになって、川崎氏は「連鎖している供述の全体が崩壊していった」と表現した。
なぜこのようなことが起きた…
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