SNS時代に語らない意味 ハン・ガンさんとなりすましの言葉の軽重

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ロンドン=藤原学思
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 今年のノーベル文学賞に決まった韓国人作家、ハン・ガンさんは受賞会見を開かなかった。ノーベル賞のスタッフには「息子と一緒にお茶を飲んで、静かに祝いたい」と言った。

 「いまはスポットライトを浴びたくない。平穏に、静かに生きるのが好きだし、賞が何を意味するのか、考える時間が必要です」。スウェーデン公共放送SVTには、そう話した。

 多くを語らない姿勢は、これまで刻んできた、そしてこれから刻む言葉を、ぐっと重くする。

 そんな姿に似つかない「公式アカウント」が、SNSに現れた。受賞決定直後に「サンクス!」と3回くり返し、「言葉が出ない」と喜びをむき出しにしていた。

 二つの投稿は複数のメディア…

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この記事を書いた人
藤原学思
ロンドン支局長
専門・関心分野
ウクライナ情勢、英国政治、偽情報、陰謀論
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    サンキュータツオ
    (漫才師・日本語学者)
    2024年10月31日12時41分 投稿
    【視点】

    言語と、それを操る人間(表現者)の関係の重要性について、学術的にも教育的にも考えてこなかったツケが表出してきているタイミングなのかなと考えました。 ソシュールによって提唱された構造主義は、言語の構造を明らかにすることはできても、表現されたこ

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