相次ぐ転落巻き添え事故、2.5mの壁があっても 遺族補償にも課題

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稲葉有紗
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 JR横浜駅横浜市西区)直結の商業施設から8月、女子高校生が転落し、下にいた女性を巻き込み、2人が死亡する事故が起きた。

 事故をめぐり、SNS上では「下にいた人が死ぬのは理不尽すぎる」「デッキを再開してほしい」など様々な意見が出た。過去にも同様の事故は起きており、専門家たちは、さらなる安全対策や被害者支援の態勢が必要だと指摘する。

 事故は多くの人が行き交う土曜日の駅前で起きた。

 県警によると、8月31日午後6時ごろ、高校3年の女子生徒(17)がJR横浜タワー12階の屋上広場「うみそらデッキ」から転落し、下を歩いていた会社員の女性(32)にぶつかった。

 女性と一緒に遊びに来ていた友人らが「音がして振り向くと倒れていた」という一瞬の出来事だった。心肺停止の状態で病院に搬送されたが、死亡が確認された。死因は頸髄(けいずい)損傷だった。

 女子生徒も全身を強く打って亡くなった。目撃者の証言から女子生徒は自ら飛び降りた可能性もあり、県警は重過失致死容疑を視野に捜査している。翌日、デッキは閉鎖された。

 JR東日本横浜支社によると、デッキは高さ約2・5メートルのガラス壁で覆われており、「乗り越えることは不可能と考えている」。女子生徒が転落した側の壁の手前に踏み台になるような物は置かれておらず、屋上内のテーブルやイスは全て固定されているという。一方、記者が現場を訪れるとガラス壁の内側には木が植えられており、木を登るなどして乗り越えた可能性も考えられる。

70年以上変わらぬ規定

 防ぐ手立てはあったのか。

 転落事故の紛争事例に詳しい…

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