「熟練者でも危ない」 刈払機で高齢男性が死亡 防ぐ手立ては

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岩田誠司
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 「草刈り機で首を切った」

 福岡県添田町の集落からの110番通報だった。2024年8月、暑い日の午後だった。

 警察官が駆けつけると、男性(70)が倒れていた。首の左側から出血しており、その後、死亡が確認された。

 田川署によると、そばには刈払機が落ちていた。長さ1.8メートルほどの柄の先に、回転する刈り刃を付けたもの。血が付いた状態だった。

 現場は草が茂る斜面で人が滑ったような跡も。滑落や転倒、操作のミスで刈払機の刃と接触し、本人が通報したのでは――。署はそうみている。

 刈払機の事故は毎年発生している。農作業中の死亡事故は22年までの10年間で年平均7.4件(農林水産省集計)あった。事故に詳しい林業・木材製造業労働災害防止協会(林災防)の安全管理士石川幹靖さん(70)によると、重軽傷も含めると被害はさらに多く、後を絶たないという。刈り刃が石や立ち木など硬いものに当たって跳ね返る「キックバック」や利用者の転倒が死傷事故の原因として目立つ。

 刈払機を扱う事業者に対しては、安全衛生教育を従業員に施すことが国の通達で定められている。

 一般人は対象外だが、死亡した男性は長年刈払機を利用し、経験は豊富なはずだった。

 しかし、危険と隣り合わせだ…

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この記事を書いた人
岩田誠司
西部報道センター|筑豊地区担当
専門・関心分野
南米、外国人労働者、農業、食、災害、環境、平和、教育