取り出したデブリは全体の数億分の1 東電は「遠隔作業できる証明」
3基の原子炉がメルトダウン(炉心溶融)を起こした原発事故から約13年8カ月。東京電力福島第一原発の廃炉作業で最難関と言われる溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しは、2号機でようやく一歩目を踏み出した。しかし、廃炉への道のりは果てしなく遠い。
「放射性物質を外に出さないように安全を確保しながら、遠隔操作で作業ができる。そのひとつの証明になる」。東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明代表は、今回の試験的な取り出し作業の意義をこう強調する。
東電は今回、原子炉格納容器の外側に、取り出し装置を収納する「隔離箱」を設置。放射性物質が周囲に漏れるのを防ぎながら、装置を遠隔で操作し、格納容器の底にある3グラム以下の燃料デブリを取り出した。
こうした対策は、今後の燃料デブリ取り出しでも重要になる。
1979年に事故を起こした米スリーマイル島(TMI)原発2号機は、圧力容器に水をためた状態で燃料デブリの取り出しができた。水は放射線を遮り、放射性物質の飛散も抑えられる。
一方、福島第一原発1~3号機は損傷が激しく、水をためられない。人は近づけず、燃料デブリの取り出しは遠隔操作できる装置での作業が基本だ。加えて、放射性物質を拡散させない対策が不可欠となる。
採取した燃料デブリは今後、日本原子力研究開発機構(JAEA)などで成分や構造などを調べる。核分裂反応が連鎖的に続く「臨界」のリスクや硬さを推定することで、燃料デブリの保管や取り出し方法の検討に生かせるという。
原子力規制委員会の山中伸介委員長は「燃料デブリを採取し、分析する最初の経験の重要性は非常に大きい。まずは第一歩を踏み出すことができた」と話す。
ただ、今回の試験的な取り出…