103万円は「幻の壁」? パート妻の働き控え、「夫が壁」の声も

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聞き手・岡林佐和
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 国民民主党が訴える「103万円の壁」対策に注目が集まっています。税金がかかる「最低限の年収」を引き上げることで減税し、働く人たちの手取りを増やすというものです。政府・与党も検討に入りましたが、実は「103万円は壁じゃない」との指摘もあります。どちらが本当なのでしょうか? 「年収の壁」に詳しい東大の近藤絢子教授(労働経済学)に聞きました。

 ――「年収103万円」は、どういう意味がありますか。

 「パートやアルバイトで働く人たちにとって、年収103万円を超えると、所得税の課税が始まります。ただ、税負担が増えるといっても大きくはありません。年収が104万円になったとしたら、増えた分の1万円に税率5%をかけた500円ほどが納税額です」

 ――手取りが減ることは?

 「ありません。手取りが減る逆転現象は生じないので、そういう意味では103万円には、制度上の壁はないと言えます。ただ、そうであるにもかかわらず、2021年までの住民税のデータを分析したところ、年収が103万円までに収まるよう働く時間を調整している既婚女性が多いのも事実です」

 ――なぜ103万円なのでしょうか。社会保険への加入が必要になる「106万円」や「130万円」ではないのですか。

 「データを見ると130万円…

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この記事を書いた人
岡林佐和
経済部
専門・関心分野
税と社会保障、ジェンダー平等政策