労働者はなぜ民主党を見捨てたのか、最も難しい第一歩 NYTコラム

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ニコラス・クリストフ

 先日、私は刑務所から出所した友人を訪ねることになっていた。だが彼は、再び薬物に手を出してしまったきょうだいを救うため、予定をキャンセルしなければならなかった。

 別の古い友人は誰かの車に乗せてもらう必要があった。彼の車がまた故障しているのがわかったのだが、次の給料が入るまで、修理に必要な2ドルのボルトを買う余裕がなかったのだ。

 米国の労働者階級が11月5日に民主党を拒否したのはなぜかと尋ねられると、私は、ここオレゴン州の農村部に暮らすこうした友人たちのことを考える。この地では、ほとんどがドナルド・トランプ氏を支持している。家賃の支払いに苦労し、1回に5ドル分のガソリンしか買わない私の隣人たちが民主党員についてしばしば感じていることは、彼らは自分たちとかけ離れたエリートであり、労働者階級に住まいを見つけることよりも、労働者階級の状況を言い表す代名詞を考え出すことに熱心な人たちだということだ。選挙後の検証では、カマラ・ハリス副大統領の選挙戦の分析が詳細に行われているが、民主党にとっての課題はそのいずれをもはるかに超えたところにある。

 数十年間、有権者は共和党よりも民主党に強く共感してきた。しかし、今年のいくつかの世論調査では、民主党より共和党を支持する人の方が多かった。2026年と28年に争われる上院の各議席を見据えると、民主党が多数を取り戻すチャンスがいつ訪れるのかを判断するのは容易ではない。

 故郷であるオレゴン州ヤムヒルで、私は民主党への幻滅を目の当たりにしている。ここは昔から、林業と農業、軽工業によって支えられてきたが、やがて、労働組合が組織された質の高い雇用がなくなり、覚醒剤が出現して、すべてが変わった。かつて私と同じ6番のスクールバスに乗っていた子どもたちの3分の1以上が、今では薬物やアルコール、自殺、それに無謀な事故で亡くなっている。

52年前の祖父母の世代よりも……

 米労働統計局の驚くべきデー…

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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2024年11月24日11時0分 投稿
    【視点】

    いわゆるリベラル界隈について「あれはリベラルではなく金満慈善ごっこよ!」という非難は昔からあったわけだが、そのリアリティの増大トレンドに対しまるで無策だったあたりで、アメリカ民主党の敗北は決まったという印象が強い。

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    伊藤昌亮
    (成蹊大学文学部現代社会学科教授)
    2024年11月24日16時41分 投稿
    【視点】

    かつて民主党のジョンソン大統領は“Great Society”というビジョンを掲げ、「貧困と差別との戦い」を宣言しましたが、昨今では貧困との戦い、すなわち福祉政治がないがしろにされ、一方で差別との戦い、すなわちアイデンティティ政治ばかりが強

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連載ニューヨーク・タイムズ コラムニストの眼

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