九大生に愛された「大学湯」、国文化財に 生まれ変わって今も現役

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福井万穂
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 80年にわたって九州大生らに愛された銭湯「旧大学湯」(福岡市)が、国の有形文化財(建造物)に登録されることになった。ともに幼い頃から銭湯に親しんだ創業者の孫と、地元出身の20代の2人を中心に、廃業後も形を変えて、地域の拠点となり続けている。

 国の文化審議会が22日、文部科学相に答申した。1932年建設の木造平屋建てで、薄いピンク色の外壁など、昭和初期の洋風な外観が特徴的。玄関には創業当時から掲げる「大学湯」の看板が残る。今回、地域の歴史的景観に寄与していると評価された。

 銭湯建築としても見どころが多い。入り口は男湯と女湯用の二つが並び、中央に番台を構える。脱衣場の板床や靴箱、衣類箱も、営業当時のままに残されている。浴室のタイルは異なるデザインが混在し、補修を重ねながら大切に使われてきた歴史を感じることができる。

 建物の立つ箱崎地区は、古くは宿場町として栄え、1911年に九州帝国大(現・九州大)が創設されて以降は学生街として発展した。銭湯は32年、現在建物を所有する一般社団法人の代表理事・石田健さん(69)の祖母、石井フミさん(故人)が創業。近くに下宿する学生や地元住民らでにぎわった。

 石田さんは、箱崎で生まれて…

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この記事を書いた人
福井万穂
西部報道センター|行政
専門・関心分野
沖縄、水俣、教育