ロシアの航空業界で、緊急着陸や故障による遅延といったトラブルが相次いでいる。米欧の制裁によって航空大手ボーイングなどとの取引ができなくなり、整備用の部品入手や老朽化した機体の更新が困難になったためだ。侵攻前と変わらず盛況な路線もあるが、制裁の影響は日増しに拡大している。
ロシア極東にあるサハ共和国のヤクーツク空港で15日、ヤクーツク航空のボーイング737が離陸するために滑走路を走行中、タイヤが破裂して翼の一部部品が破損。操縦室の計器で油圧の低下が表示された。
目的地だったモスクワの空港には無事に着陸できたが、地元メディアによると、サハの航空当局が調査を開始したという。
同じ日、北極圏のヤマロ・ネネツ自治管区を目指していたヤマル航空のボンバルディアCRJ200がノボシビルスクの空港に緊急着陸。インタファクス通信は「技術的な不具合」の可能性があると伝えている。
最大手アエロフロート航空でも8日、タイのプーケット島からモスクワに向かうボーイング777の出発が翌日に延期された。機体の故障が理由だという。
ロシアの独立系英字メディア「モスクワ・タイムズ」によると、15日までの1週間で、ロシアでは旅客便のトラブルが7件発生。アエロフロート機は昨年12月にも極東サハリンで緊急着陸しており、この5週間では、機体の故障は8回を数えたという。
このほかウラル航空のエアバスA320が昨年9月、故障のため、ノボシビルスク州の小麦畑に緊急着陸する事件も起こった。
「共食い整備」する会社も
こうしたトラブルの背景にあ…
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