第1回89歳女性は「身元保証」団体に最期を託した 託された支援員に同行

有料記事実録・身元保証業 身寄りなき老後

山田史比古
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 10月下旬。

 名古屋市内の高齢者施設で、ある女性が亡くなった。89歳だった。

 その10日ほどのち、長く女性の支援を担当していたNPO法人「ぷらっとほーむ」(名古屋市緑区)の支援員、村瀬澄江さんが、施設がある地の区役所で、窓口を訪ね歩いていた。

 女性は、頼れる親族がおらず、入院・施設入所時などの「身元保証」や金銭管理などの支援にあたるこのNPO法人と契約していた。

 「私どもご支援させていただいていた方が先日亡くなられました。こちら、返却に参りました」

 村瀬さんが窓口で声をかける。保険証や印鑑登録手帳など、女性の代わりに手続きをするために必要で、預かっていたものを、それぞれの窓口に返還する。

 「こちらにご本人のお名前を」。返還届への記入を求められ、女性の名前を記す。自らの名前も書き、本人との関係の欄には「身元保証受任法人」と記載した。

 「本当にお世話になりました。ありがとうございました」。返還手続きが終わると深く頭を下げ、次の窓口に向かった。

 「私たちは、ご家族ではないし、ご家族にはなりえません。でも長くかかわるほど、情もうまれます」

 そう話す村瀬さんが、女性を担当することになったのは、10年以上前のことだ。

「玉石混交」ともいわれる民間の「高齢者等終身サポート事業者」。どんな人たちがどんなサービスを提供しているのか。現場を取材しました。

頼れる「身寄り」、近くにおらず

 当時70代だった女性は、ま…

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この記事を書いた人
山田史比古
くらし報道部|社会保障・福祉担当
専門・関心分野
社会保障・福祉、住まい、身寄り問題、相続
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    清川卓史
    (朝日新聞編集委員=社会保障、貧困など)
    2024年12月1日9時0分 投稿
    【視点】

     その是非は別にして、「身元保証」などのサービスを提供する民間事業者の利用を考える高齢者は、今後さらに急増していくと思われます。  日本総合研究所の岡元真希子氏の推計によれば、子どもがいない高齢者は2050年までに1032万人、子どもも配偶

    …続きを読む