泡盛も無形文化遺産に 婚約にも弔いにも、飲むだけでない価値が評価
伊藤和行
「伝統的酒造り」が無形文化遺産に登録された理由に、祭りや婚礼など日本の文化に深く根ざしていることが挙げられた。沖縄で600年ほど前から造られている蒸留酒「泡盛」も、地域の文化を支える重要な役割を担ってきた。
泡盛の酒造所は沖縄に47ある(1軒は休業中)。本島だけでなく、県最北端の伊平屋島や、人口約500人の波照間島などの離島にも及ぶ。泡盛に詳しい沖縄民俗学会会長の萩尾俊章さん(67)は「人々が飲んで楽しむだけでなく、地域ごとの祭事や行事でなくてはならない存在」と話す。
例えば、沖縄の婚約祝い「サキムイ(酒盛)」は男性側から女性側の家に泡盛を持参し、両家で杯を交わす習わしだ。毎年の収穫を祝う「豊年祭」などの祭事では、神様への供え物に用いられる。一部地域で残る死者を風葬し数年後に骨を洗う風習「洗骨」でも、泡盛を使う。
もともと泡盛は、沖縄が琉球…