貴乃花「何がガチンコだよ」 強行出場の優勝決定戦で吹っ切れた

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聞き手・榊原一生
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 22歳の若さで角界の頂点に立った貴乃花光司さん(52)。第65代横綱として過ごした当時の姿からは、テレビCMで見せるおちゃめな様子は想像もつかなかった。

 大相撲ではいま、琴桜と豊昇龍に最高位昇進のチャンスがあり、大の里にも近い将来の綱とりが期待されるなど、新横綱誕生の機運が膨らむ。

 日本相撲協会を離れて6年。静かに暮らす「平成の大横綱」のもとを訪ねた。そのインタビューを2回にわたってお届けする。

【動画】「平成の大横綱」貴乃花インタビュー=井手さゆり撮影

 ――52歳の今も四股は毎日、踏み続けているそうですね

 「力士にとって四股は自らの肉体を自由自在に、しなやかに動かすのに欠かせないものです。丁寧にやるととてもきつい。裸の両足を地面に着いて、体を鍛えることは脳の活性化にもつながります。『立って半畳、寝て1畳』と言いますが、この狭い範囲で十分に鍛えられるのが相撲道。生きている間は続けるつもりです」

22歳の若さで第65代横綱となった貴乃花さん。出演するテレビCMや新たな出会いなどについて語ってくれた「インタビュー後編」は、下のリンクから。

 ――現役を引退して21年。昔のことを思い出すことはありますか

 「関節のほとんどが痛んでいます。四股を踏みながら古傷が痛むたび、体重が200キロを超える相手に、強い精神力を持って立ち向かった当時を思い返すことがあります」

 「最近は晩酌をしながら当時の動画を見ることが増えました。同期入門の曙さん(第64代横綱)、武蔵丸さん(第67代横綱)との取組を見ていると、負けて悩んだり、修正して次につなげたりした日々が浮かんできます。自分の相撲を見ると今でも力が入ってしまいます」

 ――父は元大関貴ノ花、伯父は元横綱若乃花(初代)。相撲一家に生まれ15歳で入門しました

 「父子鷹(おやこだか)で角界の門をたたいたと思われがちですが、違います。酷使した体を治療する父の姿、また、自宅が相撲部屋でしたので、角界が厳しい世界であることは幼心に感じていました。角界に入ろうという思いはありませんでした」

 ――入門したのは?

 「きっかけは中学横綱のタイ…

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