EV責任者は元日産の最高幹部…「鴻海」の影がホンダを駆り立てた
ホンダと日産自動車が経営統合に向けて協議を調整していることが明らかになった。日本を代表する自動車大手である両社がなぜいま、経営統合を検討しようとしているのか。
ホンダと日産自動車が電気自動車(EV)事業などでの協業に向けた議論のテーブルに着いたのは今年3月。しかし、議論はスピード感を欠いていた。5項目での協業を打ち出し、三菱自動車の合流も決まったのは8月。しかし、そこから4カ月で経営統合へと議論は一気に進んだ。両社を駆り立てたのは、日産買収への脅威。それも外資企業によるものだった。
呼び水となったのが、日産の業績悪化だった。11月に発表した9月中間決算は9割超の減益。併せて9千人の人員削減も打ち出した。
日産社内では、社外取締役から内田誠社長の経営責任を問う声が出た。日産社内が緊迫度を増すのと歩みをそろえるように、両社の経営統合の議論も加速したという。
業績不振を受けて、日産の株価は低迷していた。18日終値時点での時価総額は約1兆5500億円。ホンダの4分の1にとどまり、国内の自動車大手では6位。他の国内自動車大手に比べて、買収側からすると日産は企業規模の割に手の届きやすい「お買い得」な企業と映ったようだ。
関係者によると、このところ、日産の買収に関心を示す、ある企業の名前が取りざたされていたという。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業だ。
鴻海はITや電子機器の受託…