オリンパスの損失隠し、あずさ監査法人の賠償責任認めず 東京地裁
精密機器メーカー・オリンパスで巨額の損失隠しが発覚した問題で、不十分な監査で損失隠しを見逃して会社に損害を与えたとして、個人株主が「あずさ監査法人」(東京)に約2100億円をオリンパスに賠償するよう求めた訴訟で、東京地裁(鈴木謙也裁判長)は19日、株主の請求を棄却する判決を言い渡した。
オリンパスでは、2011年に過去20年にわたる損失隠しが発覚。旧経営陣らが逮捕され、金融商品取引法違反などの罪で有罪判決が確定した。金融庁は12年7月、会計監査を担当したあずさ監査法人などに「深度ある組織的な監査が行われなかった」として業務改善命令を出した。
株主側は訴訟で、オリンパスが多額の含み損を抱えていたことなどから、損失を海外のファンドにつけかえる「飛ばし」を行う恐れがあったのに監査法人は独自の調査をしなかったと主張。調査をすれば不正行為を容易に認識できたのに決算の問題点を指摘せず、「監査法人が負う義務に違反した」と訴えた。
被告側は、オリンパスで「飛ばし」が行われていたとする内部通報を受けて、この取引を取り消させるなどの対応をしたと反論。09年には不正行為の有無について、社外の専門家による調査をオリンパス側に要請していたことから「当時認識できたリスクに照らし、十分な監査手続きを実施した」と反論していた。