長崎県議会は20日、日本政府に対して核兵器禁止条約への署名・批准を求める意見書案を全会一致で可決した。一方、広島県議会は今月、条約の締約国会議へのオブザーバー参加を政府に求める意見書案の提出を見送った。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞で核問題への関心が高まるなか、被爆地の対応が割れた。
長崎県議会の意見書は、議長を除いた全会派の計45議員が連名で提出。被爆80年の節目を来年に控え、日本被団協がノーベル平和賞を受けるなど「核兵器廃絶に向けて大きな転機を迎えている」としたうえで、戦争被爆国・日本のリーダーシップが強く求められていると指摘。署名・批准までの間もオブザーバーとして締約国会議などに参加するよう強く求めた。
長崎県議会では2020年にも、政府に署名・批准を求める意見書案が採決されたが、自民と公明が反対して否決された。今回は「80年の節目も迫り、ノーベル平和賞の受賞もあった。各地での採択も広がり状況は変わった」(自民県議)などとして可決された。
一方、広島県議会では10日の議会運営委員会で、公明党が提案したオブザーバー参加を求める意見書案が示されたが、最大会派の自民議連が反対。全会一致が原則のため、本会議への提出に至らなかった。県議の一人によると、「政府方針や自民党の政策はそこまで踏み込んでいない」などというのが反対の理由だったという。
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