戦火のスーダン、独学で日本語 アニメにもらった希望 特派員メモ

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今泉奏
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@ポートスーダン

 紅海の熱風が吹きつけるスーダンの港町ポートスーダン。キンキンに冷えたビールが飲みたくなるが、このイスラム国家で酒は禁じられている。ましてや今は取材中だ。気温40度を超えても、熱々のコーヒーで気を紛らわせるしかない。

 そんな私を見て、ハラ・アルディンさん(22)は「好きな言葉? 『飲んだら乗るな』ですかね」と流暢(りゅうちょう)な日本語で言って笑った。昨年4月、スーダンで国土を二分する紛争が始まった。首都ハルツームにいたハラさんは、避難先で急に思い立って日本語を独学で勉強し始めた。

特派員メモ

世界各地で日々ニュースを追っている朝日新聞記者が取材や暮らしの中で感じたことをつづった「特派員メモ」。トランプ前米大統領の返り咲きなど、大きな国際ニュースが相次いだ2024年を振り返ったコラムを年末にまとめて配信します。長年紙面でご愛読いただいているコラムをお読みください。

 砲弾が飛び交う街。大学の授業はなくなり、友人とも離ればなれに……。そんな状況が、好きな日本のアニメ「進撃の巨人」が描く世紀末のような世界と重なって見えた。「人生はつらく、うまくいかない。だけど、生きていくしかない」。物語に励まされ、日本語への挑戦を決意した。

 それから、毎日10時間以上…

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この記事を書いた人
今泉奏
ヨハネスブルク支局長|サハラ以南アフリカ担当
専門・関心分野
アフリカ、植民地主義、グローバルサウス