公益通報者へ相次ぐ報復 刑事罰導入も限定的、問われる実効性
井上道夫 大村美香
公益通報者保護制度が誕生して18年。解雇や懲戒処分に刑事罰が導入される背景には、通報者に対する勤め先からの報復が後を絶たず、通報をためらう人が依然として多いことがある。
公益通報者保護法は2006年に施行された。三菱自動車によるリコール隠しや、雪印食品による牛肉産地偽装などの不正が内部告発で発覚したことなどを受け、労働者が勤務先の一定の違法行為を内部窓口や行政機関、報道機関に通報したことを理由に解雇や降格といった不当な待遇を受けないようにすることを目的としている。
しかし、消費者庁が昨年、就労者1万人を対象に実施した調査では、実際に勤務先や外部に「相談・通報したことがある」と答えた476人のうち、「勤め先から不利益な取り扱いを受けた」と回答した人は61人にのぼった。具体的な不利益の内容(複数回答)は「上司や同僚からの嫌がらせ(49%)」「不利益な配置転換(38%)」などが多かった。
だが、これらは今回の刑事罰…
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