戦闘で死傷者続出だが…北朝鮮兵は「喜んでロシアに」脱北の元将校

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聞き手・牧野愛博
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 ウクライナゼレンスキー大統領は昨年12月、ロシアに派遣され、ウクライナとの戦闘で死傷した北朝鮮兵士が3千人以上にのぼるとの見方を示しました。一方、北朝鮮で15年以上、軍人を経験した後に脱北した金聖玟(キムソンミン)・自由北韓放送代表は「北朝鮮兵士は喜んでロシアに派遣されたはずだ」と語ります。戦死を含む厳しい戦闘が待ち受けていることを予想していなかったのでしょうか。

【連載】読み解く 世界の安保危機

ウクライナにとどまらず、パレスチナ情勢や台湾、北朝鮮、サイバー空間、地球規模の気候変動と世界各地で安全保障が揺れています。現場で何が起き、私たちの生活にどう影響するのか。のべ300人の国内外の識者へのインタビューを連載でお届けします。

 ――北朝鮮での軍隊生活はどのようなものでしたか。

 1978年から88年まで第4軍団第28師団で一般兵士として勤務しました。その後、金亨稷師範大学で2年間学んだ後、黄海南道(ファンヘナムド)の第620訓練所や主体砲(自走砲)軍団の大尉として95年4月まで勤務しました。現在も、軍出身の脱北者らにラジオ番組でインタビューを続けています。

 86年ごろから軍生活が苦しくなりました。金正日(キムジョンイル)(総書記)が「国の事情が厳しいので、軍も自分たちで食料問題を解決せよ」という教示(指示)を出したからです。国が軍に供給する食料は86年から、塩、みそ、しょうゆと、トウモロコシとコメが半々の穀物だけになりました。「副食は自分で解決しろ」というのです。

 このため、軍は一部の部隊を…

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この記事を書いた人
牧野愛博
専門記者|外交担当
専門・関心分野
外交、安全保障、朝鮮半島