分からないからこそ飛び込めた 答えなきバレエの世界 吉田都さん

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聞き手・小林正典
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 7月に英ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスでの公演に挑む新国立劇場バレエ団。率いるのは、舞踊芸術監督を務める吉田都さんです。かつてこの舞台で、英国ロイヤル・バレエ団プリンシパルとして活躍しました。将来の約束もないバレエ界に飛び込み、長く現役を続け、今もなお挑戦を惜しまない吉田さんに、不確かな世界での生き方を聞きました。

     ◇

 ――9歳でバレエを始め、その後英国に渡り、世界3大バレエ団の一つである英国ロイヤル・バレエ団の最高位ダンサー「プリンシパル」に。「東洋人女性としては初」と言われました。退団後も2019年まで現役を続け、現在は新国立劇場バレエ団を率いています。厳しいバレエの世界で将来へ約束などもない中、長く続けてこられました。

 「バレエは本当に不確かなもので、答えがない芸術です。評価もあいまいです。多くの人が納得できる踊りや表現を身につけようとしても、見る側はそれぞれ異なる価値観を持っています。職業としても不確かです。先が見えず、保証もされていません。けがもあります。自分ではどうにもならない向き不向きもありますし、監督やバレエ団との相性、作品との出会いのタイミングなど、こんなに不公平な世界はなかなかないと思います」

 ――そうした世界に飛び込むのは怖くなかったですか。

 「今考えてみると最初に英国…

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