「がんに有効」信じた妹は金を振り込んだ スマホに残った偽りの希望

有料記事がんとともに

根岸拓朗
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 「妹は1人で抱え込んでしまっていた」

 形見の腕時計を手にとり、関東地方に住む女性(44)はうつむいた。

 「治療を見直すことを家族で話し合えていれば、どこかで止められたかもしれない」

 妹は子宮がんと診断された後、一般的ながん治療で行われる手術や抗がん剤を拒み、「民間療法」を受けていた。手術をすすめる母親とは関係がこじれ、女性とも治療について話せていなかった。

 転移して手術もできない状態だと診断され、緩和ケアのために入院した。

 思い出すのは、目をつぶり、みけんにしわを寄せながら痛みに耐える妹の姿だ。手を握るとはねのけられた。あまりに痛みが強いのか、うめき声すら上げなかった。

 痛みが引くと、妹は言った。「自分のわがままのせいでこんなことになっちゃった」

妹のLINEを見ると

 2021年7月、37歳で亡くなった。亡くなる前、手がむくんでスマートフォンを操作できないといい、パスワードを女性に教えた。

 妹のLINEの履歴を開き…

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この記事を書いた人
根岸拓朗
東京社会部
専門・関心分野
司法、人権、ジェンダー