「だし」がスポーツ飲料に? 糖分控えめの無添加で「のどごし良い」

阿部育子
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 「魚の町」として知られる宮城県気仙沼市で、だしを製造販売する「まる福商店」の店主、福田修さん(57)が、スポーツ飲料として飲めるだしを開発した。添加物を使わない、やさしい味。食と健康を考えるきっかけにしてほしいという。

 ほんのりと茶色がかったその飲み物は一見、薄い麦茶だが、実は「だし」。福田さんが販売している「飲むsportsだし(スポーツだし)」だ。ティーバッグ状の袋入りで、煮出して作る。一口含むと、カツオや昆布の強いうまみを広げながら、するするとのどを流れていく。

 「のどごしが良く、飲みやすいのが特徴です」と福田さん。温かいままでも楽しめるが、夏場は冷やして水筒に入れ、塩をひとつまみ入れて飲むのがおすすめだという。

 福田さんは気仙沼市魚町出身。子どもの頃は自ら削ったかつお節でだしを取り、煮干しが頭ごと入ったみそ汁が食卓に並んだ。これが健康な体作りにもつながり、高校時代にはインターハイで入賞するなど、自転車競技の選手として活躍した。

 「食」に関心を持ち、卒業後は上京して東京・新宿のホテルで料理人として働き始め、アーティストなどの著名人の専属料理人も経験した。

 県内に戻ったのは30代前半の頃。子どもの頃の経験をもとに、仙台市内の飲食店の料理長に着任してから約20年間、自分で考案するメニューには添加物を入れずに「体にいいものを」とこだわった。

 ただ、今の一般家庭の料理には子どもの頃に親しんだだしではなく、時短で作れる市販の風味調味料などが使われていることが多い。日々、調理場に立つ中で、健康な体を作る本来の「食」が忘れ去られているのではないかと感じることが増えたという。

 そこで、2019年末に店をやめ、自分にできることを考えた。「食の大切さを伝えたい。どの家庭にもある調味料が作りたい」。そう思い立ち、店を立ち上げた。

 初めて商品化したのはシンプルなだしだ。その名も「だし 魚町」。試行錯誤を経てカツオとサバ、ウルメイワシ、煮干し、昆布の5種類を配合した。このだしから、ウルメイワシと煮干しを抜き、のどごしの良さ、飲みやすさを追求して改良したものがスポーツだしだ。最初の商品より薄味で、関西風味のイメージだという。筋肉の修復に必要なアミノ酸やたんぱく質、ミネラルを豊富に含み、スポーツや屋外での仕事の際にとるのにぴったりだと思った。

 市販のスポーツドリンクには糖分や添加物が多く含まれているが、スポーツだしは糖分控えめで無添加。福田さんは「栄養を意識しながら、特にスポーツをする子どもたちにぜひ飲んでほしい」と話す。

 昨年、約30年ぶりに気仙沼市に戻り、二つのだしを地元で販売中だ。商品はそれぞれ5個入り750円(税込み)。

 市内のセレクトショップ「KNEWS」(南町海岸)や同店のサイト、南三陸さんさん商店街の魚屋「ロイヤルフィッシュ」などでも販売している。注文は福田さんのインスタグラムアカウント(@dasisakanamati)へ。

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