「ポニョ」舞台のモデル、鞆の浦沖に星野リゾート施設 広島県初進出
広島県福山市は16日、景勝地・鞆の浦沖に浮かぶ仙酔島(せんすいじま)(同市鞆町)の国民宿舎跡地の利活用について、国内外でホテルを運営する星野リゾートと県の3者で基本協定を結んだと発表した。市は4~5年後をめどに滞在型施設の開業を見込んでおり、対岸の鞆の浦や市全体の観光振興の拠点としても期待を寄せている。実現すれば、県内初の星野リゾートの施設となる。
仙酔島は周囲約6キロの無人島で、瀬戸内海国立公園内にある。1960年に島内に国民宿舎ができたが、老朽化で2021年に営業を終了した。
市は23年9月から、解体後の跡地と周辺のキャンプ場、砂浜を含めた市有地と県有地計2万平方メートルの一体活用案を公募。星野リゾート1社が応募した。
市は24年3月に同社に優先交渉権を与え、県も交えた3者で協議してきた。ただ、予定地内は自然公園法や文化財保護法などで開発が規制されている。そのため、市によると星野側の提案内容が実現できるか、これまで精査していたという。
市は、施設の概要など提案内容については、星野側の意向も踏まえて公表していない。市は活用案公募時に「高付加価値を求める観光客や訪日外国人らがメインターゲット」「気軽に訪れられるネイチャーツーリズムスポット」「鞆の浦の文化や歴史の共有」などの方針を示していた。
市文化観光振興部は「公募時の方針を踏まえた提案内容だった。詳細な事業プランは、今後の進捗(しんちょく)に応じて公表されると考えている」としている。市は少なくとも設計などに2年、工事に2年はかかると見込んでいる。
星野リゾートは取材に対し、「鞆の浦にすぐ移動でき、国立公園の自然の豊かさと人の営みを感じられる、仙酔島の立地の魅力を生かした施設にしたい」とした。同社の宿泊施設には最高級の「星のや」など五つのブランドがあるが、どのブランドにするかや開業時期は未定という。
鞆の浦は、アニメ映画「崖の上のポニョ」の舞台のモデルとなった。周辺では「鞆未来トンネル」が24年度末に開通する予定だ。枝広直幹市長は取材に「滞在型リゾートで、いままで以上に仙酔島を国内外へ発信できる。トンネル開通で周遊の軸が形成され、市南部の観光ルートに星野さんが加わると魅力が大きく増す」と話した。
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