第6回「こういう事業がない社会に」 隙間うめる仕事始めたケアマネの真意

有料記事実録・身元保証業 身寄りなき老後

山田史比古
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 「こういう事業は必要ない社会の方が絶対いいです。その方が自然です」

 秋田県の南部にある由利本荘市。自らが代表理事を務める企業組合の事務所で、松本慶一さん(41)は少し苦笑いした。

 デイサービスや訪問介護、訪問美容などを手がけてきた企業組合「ほっと」は、2021年4月、頼れる身寄りがいない高齢者らを対象とする「身元保証」事業を始めた。

死後の葬儀や納骨にも対応

 松本さんは介護保険ケアマネジャーで、社会福祉士の資格も持つ。「身元保証」で提供する支援は、入院や施設入所時に「保証人」となることや、緊急時の相談や駆けつけ、精算や支払いの代行、定期的な面会や金銭管理など、幅広い。希望があれば本人の死後の葬儀や納骨などにも対応する。

 12月上旬。松本さんは、73歳の男性が一人で暮らすアパートを訪ねた。

 2カ月ほど前に福祉関係者による紹介で、男性から相談があった。面談を重ね、重要事項説明書などを示して説明したうえで、身元保証サービスの契約を結んだばかりだ。

 「今日は、いまの価値観、何かあったらこうしてほしいという意向を聞き取らせてもらいます。万一のときに意向を尊重できないということにならないように」

「身元保証」に関する事業を始めたケアマネの松本慶一さん。松本さんは「身元保証サービスという業態は、なくせると思っている」といいます。記事の後半で松本さんの思いを紹介しています。

 そう話すと、男性と向きあっ…

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この記事を書いた人
山田史比古
くらし報道部|社会保障・福祉担当
専門・関心分野
社会保障・福祉、住まい、身寄り問題、相続