第3回病床のいとこに思わぬ連絡 入院時の身元保証、「医療同意」求められ
自分はどんな医療を受けるのか。
医療行為への同意の権利。本来はその本人のみに認められているものだとされる。一方で、医療機関では、さまざまな場面で、本人に代わって「身元保証人」が求められるのが現実だ。
「1人で何でもできた」はずが
大阪府に住む女性(73)は、「人に頼らず生きてきた」と話す。
14年前に母を見送ってからは、一人暮らし。結婚はしていない。「ピンと来る人」に出会わなかったからだ。世の中は結婚にこだわりすぎだ、と感じていた。
大学卒業後は、高校の教師に。30代半ばに体調を崩して退職してからは、通訳などの仕事をした。海外旅行が趣味で、留学も複数回経験した。
1人で何でもできた。
でも昨年6月、初めて「一人はしんどい」と思った。
引っ越したばかりのアパートで、壁紙を貼っていたところ、踏み台にしていた空気清浄機から転落した。
激痛が走り、立ち上がれない。そばにあったカバンをたぐり寄せ、携帯電話を取り出して、なんとか救急車を呼んだ。
左足のひざを陥没骨折して、車いす生活に。約2週間後には手術をすることになった。
入院時に求められた連絡先は、10歳ほど年上の友人に頼んだ。
困ったのは、「身元保証人」だ。
両親も兄もすでに亡くしており、頼めそうな親族はいとこだけ。しかもそのいとこはステージ4のがんで入院中。足の手術くらいなら、連絡が行くことはないだろう……。そう思って、いとこの名前を書いた。
病床のいとこに事前に連絡するのもためらわれ、連絡はしなかった。入院費用の心配はなく、病院にも事情を話して「連絡はしないでください」と伝えていた。
ところが手術当日、入浴しよ…