子ども17人を誘拐して売った被告に死刑 中国、生活苦で「悪の道」
中国の貴州省高級人民法院(高裁)は19日、計17人の子どもを誘拐して売り渡した罪に問われた被告の女に対し、死刑とした一審判決を維持する判決を言い渡した。国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。子どもの誘拐が深刻な社会問題となってきた中国で、この裁判は社会的な注目を集めていた。
余華英被告は当初、11人の子どもを誘拐して売り渡した罪に問われ、2023年9月の一審で死刑判決が出された。余被告は上訴。二審の開始後、まだ明らかになっていない犯罪事実があるという検察側の主張を受け、高裁が審理を差し戻した。
差し戻し審では6人の子どもに対する誘拐と売り渡しの罪が起訴内容に加わり、今年10月の一審判決で再び死刑判決が下されるという異例の経過をたどった。余被告は「自分は主犯ではなかった」と主張して上訴したが、この日の二審判決で退けられた。中国は二審制で、判決が確定する。
中国メディアによると、余被告は1993~2003年、仲間と共謀して貴州省や重慶市、雲南省などで誘拐した子どもを売り渡して利益を得た。きょうだいで誘拐された被害者も複数いるという。
余被告は1963年生まれ。20代のころ生活が苦しく、まだ2カ月の赤ちゃんだった息子を5千元(現在のレートで約10万7千円)で売り、「誘拐の悪の道に踏み込んだ」とCCTVは伝えている。