第3回ダイズ・イネ・イチゴなど8種の月面作物 閉鎖環境で進む生育研究

有料記事宇宙農業の最前線

梶原洵子
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【ニュートンから】宇宙農業の最前線(3)

 宇宙農場では,どのような野菜が育てられるのだろうか。植物はそれぞれ条件がことなるため,栽培のしやすさやなどを含めて植物の選定が行われている。たとえばNASAの研究チームは1997年にコムギなどを含めた23種の農作物を選んだ。

人間に必要な8種の農作物を栽培

 日本では,月面で栽培する農作物として,イネ,ダイズ,ジャガイモ,サツマイモ,レタス,トマト,キュウリ,イチゴの8種類が選定されている。この8種の農作物は,JAXA(宇宙航空研究開発機構)による「月面農場」の実現に向けたワーキンググループにおいて,日本人に必要なカロリーや栄養素,日本人の嗜好性をもとに選ばれた。その想定では,1人が生活していくのに必要な農作物8種類を収穫するための栽培面積は約80平方メートルと試算されている。ただし平面で栽培するのではなく,敷地を効率よく使うために栽培棚を重ねて立体的な農場をつくることが考えられている。

 宇宙環境で植物を栽培するときに最大の課題となるのは重力だ。だが植物がちがえば栽培方法や最適な水分や養分の量,気流といった環境条件もことなる。それぞれの農作物に最も適した栽培システムを確立しなければならない。

 たとえば,イチゴは受粉が大…

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