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Dolce
*** hana
置き土産
ふと、お仏壇に目が行った。




この朱の小さなお盆が、お仏壇…。
これ、駱駝の骨で作られた小箱。
遺髪が入っているのです。父の。







ふと、思い出した。
介護の日々を。父の温かい心に触れた日々を。
それがあれば、良いではないか。




私は、愛されていたのだ。
あの父の置き土産のような日々を思い出す。




親に愛されるということはこんなに勇気をもらえることなのかと、驚く。
ふっとこわばった身体の力が抜ける。


「この世にいてもよい」という免罪符を得たような気さえする。また…、それは…大袈裟な…。と思えるのは、普通の家庭に育ったひと。そうなのだ…。
私のように育つと、どんなに世の中に奉仕しても、邪魔者のような、除け者のような、嫌われ者のような、そんな感覚がどうしても拭いきれない。



日本全国全員が、私を嫌っているように感じる時さえある(笑)



父と心が通ったことを思い出したら、少し心に芯ができたような気がした。
甘い香りのお香を炊きました。











「あなたがいるとイライラするのよ!」
そんな母の叫び声が未だに身体に染み付いている。ふいてもふいても拭えない、お化けの様な悲しみが頭をもたげてくる。コレはきっと取り除けない。一生。だから「心的外傷」なのだもの。






でも、最期の最後、私は、父に認めてもらった気がした。

父の枯れ木のような腕をさすることができた。
抱きしめてもらうことができた。
直接は、私とダダと息子を順番に抱きしめた。
嬉しかった…。







忘れていた父との最期の日を思い出した。

ようやく税金を払い終わって、ようやく全て終わったと思った矢先に、起きた実家泥棒事件や、ここには書いてはいませんが、お金の管理のことで、再び、図らずも母と弟と関わってまた嫌な思いをして、自分を責めていた。また私は、50年前の自分に戻って傷ついていた。

もう、分別のあるおばちゃんなんだから、そこへ戻ることはやめよう。
で、戻りたくなくても戻ってしまうのなら、父を思い出そう。苦しくなったら、父との最期の日々を思い出そう。


そうして、『自分は生きててもよいのだ。自分だって自分の家族には欠かせない大事なメンバーなのだ。そして、愉しいことしてよいのだ。嬉しくてよいのだ。人生を愉しんでよいのだ』と、言い聞かせる。









今日は、お仏壇に、小さく薔薇を供えました。
そして、カミュというブランデーを。父が好きだったので。

とろりとした琥珀色のブランデーを、愛用のグラスに。


『お父さん、素敵でしょう。今年もお庭に薔薇が咲きました。』


華やかなお仏壇の出来上がり。
もう五月なのね。


あれからそろそろ一年が経つ。




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[2021/05/03 10:23] | Orange・ribonn | トラックバック(0) | コメント(0)
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