家路に就いた電車の座席で隣に坐る矮小な四肢の男児が熱心に朱筆で採点された自身の答案を省察してたんです・・・
　進学塾で施行された社会科の答案のようでしたが、答案の上端には大河内何某と記されておって、アタシャあ、1968年に勃発した当時の東大紛争を憶い起こしたんれすわぁ
　医学部におけるインターン制度廃止要求に端を発した大学側と自治会との紛争で一部の急進的な学生らが安田講堂を占拠するや、大河内一男総長はロバみてぇな呑気な顔つきを晒して、警視庁機動隊の導入を宣したんですわなっ！
　大河内先生の遠祖に該る知恵伊豆こと松平信綱は徳川家光の治世下に老中を務めた人物で、島原の乱を鎮定し、ポルトガル人の国外追放・オランダ人の長崎出島隔離を成し遂げ、鎖国体制を完成させた人物ですわぁ。
　んで、連想するんは、1939年の所謂平賀粛学で大河内先生は師たる硬骨漢の自由主義者・河合栄治郎と訣別しやはったけど、その６年前に起きた京大の滝川事件では瀧川幸辰教授を支えた硬骨漢が居てはりましたわなっ！
　瀧川教授はドイツのMax Ernst Mayerが唱えた構成要件理論に甚く共鳴した学者でしたが、Mayerを啓発した新カント主義の哲学者ハインリヒ・リッケルト門下がマックス・ウェーバーで、その学統はHerbert Simonに継承されてますわぁ。
　アタシャあ、学生の頃Simonの著作を見て、企業活動におけるコンピューターの利用だとか、今を時めくAIの語句が盛んに踊ってたことに、恰も『2001年宇宙の旅』みてぇな外人のファンタスティックな夢物語やぁ思っとったんれすが、今じゃあ、卑近な現実になっとるんれすわなっ!!