全日空の客室乗務員だった長女は6年前、フライト先のニューヨークで急死した。奈良市の永井隆裕さん(64)、有子(ありこ)さん(64)夫婦は、自宅の庭に6畳ほどのガーデンハウスを建てた。名前は「シオリハウス」。訪れる同僚や友だちと思い出話をする場だ。
全日空の客室乗務員だった長女は6年前、フライト先のニューヨークで急死した。奈良市の永井隆裕さん(64)、有子(ありこ)さん(64)夫婦は、自宅の庭に6畳ほどのガーデンハウスを建てた。名前は「シオリハウス」。訪れる同僚や友だちと思い出話をする場だ。
今回は、お子さんを亡くされた3家族にお話をうかがいました。それぞれの「喪の旅」です。
「いろんな国の人と出会って話したい」。史織さんはそう言い、高校から客室乗務員を志した。英語を猛勉強し、夢をかなえた。ベトナム航空などを経て全日空へ。国内線から国際線乗務になり、14年秋から念願のニューヨーク便やロンドン便に乗るようになった。
「仕事が好きで意欲に燃えていました」と有子さん。茶道やワイン、料理と習い事をしたのも、きめ細かいサービスがしたかったのだと思う。
頭痛がひどく、脳の精密検査を受けたこともある。だけど、まさか――。15年3月、ニューヨークで脳梗塞(こうそく)で倒れたという知らせ。家族で駆けつけ見守るなか、3週間後に亡くなった。31歳だった。吹雪の舞う現地で火葬した。「煙突から上る煙を見たときは悲しかった」と隆裕さん。
帰国後のお別れ会には同僚や友だち130人が来てくれた。「しおりんの笑い顔ばかり思い出す」と友人たち。先輩の顔を見て、「シミのでき始めですよ。気をつけないと」とアドバイスしたとか、友人同士を引き合わせてカップルを10組以上も誕生させたとか。有子さんは「父親に似て、ひょうきん者。自分は結婚せず、他人の世話ばかりやいて」と泣き笑った。
有子さんは毎朝、米国から持…